みなさん、こんにちは。
スクールユニットの樋口です。
昨年、2015年の12月22日に、東京都葛飾区の南葛飾高校で「票育」の授業を実施しました。
今回のツカシカ区長選挙では、財政再建を争点に、3人の候補者が議論を戦わせました。
この日は、ディスカッションパートを2度実施。
票育クルーとして来てくださった皆さんやぼくいちのメンバーが、高校生たちのグループの中に入り、
議論を盛り上げました。
ディスカッションの後に行われた、生徒から候補者への質問パートでは、
「本当にその政策は実現できるのか」
「なぜそのような政策を掲げようと思ったのか」
など、つっこんだ議論が交わされました。
90分間の授業の結果、当選したのは増税を掲げた松澤候補でした。
当選者が発表されると、生徒の皆さんの間からは歓声が上がりました。
南葛飾高校の皆さん、本当にありがとうございました。
協力していただいた全ての方々に、深く御礼申し上げます。
さて。
私は、これまでぼくいちが開催してきた票育授業のうち、いくつかの授業の台本を作成してきました。
政治教育に携わる全ての方々が試行錯誤していらっしゃるように、私も、中学生や高校生たちに社会問題への
関心を持ってもらうために、様々な努力を重ねてきました。
特に私が注力してきたのは、政策議論や社会問題などの「硬い」話題を「ネタ」に作り変えるという作業です。
ここでは、私が授業の台本を作成するにあたって参考にした、アメリカのコメディーショーについてご紹介したいと思います。
アメリカのテレビ番組には、コメディーショー、あるいはトークショーと呼ばれるジャンルが存在します。
これらのテレビ番組では、司会者が時事問題を茶化したり、話題の政治家の発言に茶々を入れたりと、
政治や社会の問題を、「ネタ」として扱っています。
特にその傾向が顕著な番組として、ケーブルテレビ局HBOの看板番組ともいえる、“Last Week Tonight with John Oliver”や、コメディ専門チャンネルのComedy Centralが放送していた風刺ニュース番組、“The Daily Show with John Stewart”、三大ネットワークの一つ、CBSが誇る、“The Late Show with Stephen Colbert”などが挙げられます。
※これらの番組の一部は、YouTube上に公式にアップロードされており、日本に住んでいる私たちも視聴出来ます。
アメリカのコメディーショーが、どのように社会問題を取り上げているかを知る例として、ワールドカップ開催とFIFAの関係について説明した次の動画を視聴することをお勧めします。
硬派な話題を「ネタ」として取り上げ、普段は日の当たらない社会問題に視聴者の関心をひきつける。
その上で彼らに思考・行動を促すというこれらの番組の手法は、中学生・高校生たちに政治教育を行う際にも
十分に有効な手段だと考えます。
もちろん、プロのコメディアンや放送作家が作るこれらの番組と同じクオリティの授業を行うことは、ほぼ不可能です。しかし、彼らが政策議論や社会問題を、「ネタ」に作り変える手法は参考にすることが出来ます。
上記のコメディーショーでは、テレビ番組のクリップや、インターネット上にアップロードされた動画などを
「ネタ」として多用しています。
これらの動画はYouTube上に大量にアップロードされており、その中には、高校生や中学生が「ウケる!」と
感じるであろう動画も存在します。
他にもスライドの一部に、Photoshopなどで加工した「ネタ」写真を取り入れるなどの手法を
活かすこともできます。
もちろんこれらの手法は、政治や社会を論ずる上で、正攻法と言えるものではありません。
しかし、政治教育を行う際に重要なのは、生徒たちに政治や社会への関心を持ってもらうこと、そして彼らが
主体的に考え、行動できるようになる事です。
私は、政策議論や社会問題などの「硬い」話題を、「ネタ」として説明するというこの手法は、上記の目的を達成するうえで、非常に意味のある手段である考えています。
これからますます活発になる政治教育の一つの形として、私たちは、ぼくいちの「票育」を一つの標準とすることを目指していきます。